冬山合宿(北アルプス 爺ヶ岳)

期間
2019年12月26日(木) ~ 12月29日(日)
山域
北アルプス 爺ヶ岳
目的
冬山の技術の継承

メンバー
4年 山上耀一郎(CL、装備)
4年 須貝綾菜(食料)
2年 藤田渓(SL、医療、渉外)

行動概要
12月26日(木) 曇り後雪 -1℃
8:16鹿島山荘 ~ 8:35行動開始 ~ 14:50標高1617m付近にて幕営
8:16鹿島山荘到着。 天気は曇り。 山荘周辺に雪が見当たらないどころか、これから登っていく尾根にも雪は見えない。 先が思いやられる。 嫌な予感とは的中するもので、案の定雪がなさすぎるせいで藪漕ぎとなり、苦戦する。 昼前からは雪がちらつく天気に。 藪漕ぎで思うように進めず、ようやく水が作れそうなほど雪が積もっている、標高1617m付近にて幕営。

12月27日(金) 吹雪 -1℃
5:30起床 ~ 停滞 ~ 20:00就寝
5:30起床。 しかし、天気は予想通りの荒れ模様。 上の方からはすさまじい風音が聞こえてくる。 再び眠りにつく。 9時頃から降雪も一層激しさを増し、1時間ごとに除雪をしなければならなかった。 19時頃ようやく降雪も落ちついてきたため、一応除雪用意をしつつ就寝。 夜中、木から落ちてきた雪の塊がテントに当たり、大きな音を立てる。 テントが押しつぶされたのではないかと思い、何度か目を覚ますことがあった。

12月28日(土) 晴れ -14℃
6:00起床 ~ 8:30出発 ~ 10:40ジャンクションピーク ~ 15:45P3にて幕営
6:00起床。 天気は晴れ。 テントは埋まっていたが、壊れていなかった。 ポールが過去最高に凍り付いており、出発に手間取る。 8:30ようやく出発。 一昨日とは真逆に新雪のラッセルでゆっくりと進む。 単独の登山者に途中で追い越される。 久しぶりに人に会ったような気がする。 10:40ジャンクションピーク。 単独行の人を皮切りに次々と山岳会などの社会人も入山してきて、共にラッセルで苦戦する。 15:45P3にて幕営。 今日の幕営地は星空も見え、爺ヶ岳も見える一等地だ。 翌日に備えて就寝。

12月29日(日) 晴れ -15℃
5:00起床 ~ 7:00出発 ~ 8:20P2 ~ 10:30P1 ~ 11:36爺ヶ岳山頂 ~ 14:08P3帰幕 ~ 15:30出発 ~ 16:40ジャンクションピーク ~ 20:30鹿島山荘
5:00起床。 外は絶好のアタック日和だ。 何となくテンションが上がってくる。 しかし、天気予報では明日以降天気が悪くなることがわかっていた。 このため、今日中に周りに木が少ない今の幕営地を撤収することを皆に伝える。 6:00頃出発という所で、須貝が腹痛を訴える。 1時間ほど安静にしていると落ち着いてきたようなので7:00出発。 8:20P2到着。 10:30P1着。 あともう一息と気合を入れなおして登る。 途中、こちらに下山してくるパーティに出会う。 誰かと思ったら法政大学の山岳部だった。 挨拶をして登り続ける。 11:36爺ヶ岳山頂。 最後の冬合宿で登頂できたことを喜ぶ。 テントを移動させるため、名残惜しいが早々に下山開始。 14:08P3帰幕。 少し休憩をしてテント撤収。 改めて地形図を見るとあと3時間強で降りられる距離であるため、最後少しヘッドライトで行動するが、今日中に下山しようと提案し下山を決定する。 皆下山パワーが出ているようで、昨日ラッセルで苦労した道をサカサカと下っていく。 16:40ジャンクションピーク。 休憩中にヘッドライトを懐に忍ばしておく。 その後も調子よく下山していき、17:15頃ヘッドライトをつける。 このままでいけば19時までには鹿島山荘につけるだろうと思っていた。 17:30最後の休憩をとり、残りの急坂を一気に下ろうと出発。 急坂を少し行くと、雪はうっすらとついているだけとなり、足元は悪く滑りやすい。 このままワカンで行くか迷うが、なかなかワカンを外せるほど安定した場所がなく、そのまま進む。 この時、隊列は須貝、山上、藤田の順番であった。 足元が悪く、滑りつつ降りていくうちに隊列を間延びしていってしまった。 しかし、間延びさせないために待とうとしても足元が悪く、止まっているとどんどん滑っていく。 そのためなかなか立ち止まれず、お互いに名前を呼び合うこととライトの灯りが見えることで無事であるかを確認した。 また、想像以上にこの急坂で苦戦しており、時間もかかってしまい焦り始めていた。 下の街の灯りが見えてからもゆっくりとしか近づかない。 残り5 ~ 10分ほどで下れる地点でなんとかワカンが外せそうであったのでワカンを外す指示を出す。 荷物は下せないのでザックから出ている紐にワカンを縛って進む。 その後藤田は滑落する。 しかし、叫び声も何も音がなかったため、山上、須貝は気づかない。 さらに山上が「藤田!大丈夫かー!」と呼ぶと返事が返ってくるため、無事であると2人は思っていた。 滑落した後、藤田は山上の名前を呼び、「落ちました!」と叫んだと言う。 しかし、山上、須貝には「引っかかりました!」と聞こえており、木にザックが引っ掛かって苦戦しているのだろうと考えていた。 そのため、山上は藤田にゆっくりでいいから気を付けて降りるよう言うだけであった。 しかし、なかなか藤田の灯りが見えないため何度も藤田の名前を呼ぶ。 すると返事が返ってきていたため、そのまま下山してしまった。 須貝、山上は藤田が苦戦していると思い、山荘に荷物を置き藤田を迎えに行く。 迎えに行き、何度か藤田の名を呼ぶと返事が返ってきており、徐々に近づいていることから安心しはじめていた。 しかし、声が聞こえる方向が本来おりてくるはずの場所からではなかったことから何かあったと判断し、携帯で藤田と連絡することを叫んで伝える。 携帯で電話すると、滑落したが手足が動く状況であることから沢沿いに自力下山中であることがわかり、迎えに行く。 防波堤のすぐそばで藤田を発見し合流。 下山。 鼻血が出ていることから頭部に対する打撲が疑われたためタクシーで大町総合病院へ行き、検査してもらう。 検査の結果、異状なしとのことで翌日帰京することを決定。

報告担当:山上