北アルプス 雲ノ平 槍ヶ岳

期間
2021年9月6日(月)〜9月13日(月)
山域
北アルプス 雲ノ平、槍ヶ岳
目的
北アルプスでの縦走を楽しむ
メンバー
4年 藤田 渓 (CL)
3年 吉田 真理子(SL)

行動記録:
9月6日(月) 天気:曇り
22:15新宿バスタ集合~22:50新宿バスタ出発~夜行バスで車中泊

22:15新宿バスタに集合した。想像以上に多くの人が待合室にいた。電光掲示板と予約完了のメールとを見て、バス乗場を確認する。22:50定刻通りに夜行バスが出発した。

9月7日(火) 天気:曇り
5:30富山駅着~5:50電鉄富山発~7:37有峰口到着~8:25薬師ヶ岳登山口着~8:40薬師ヶ岳登山口発~13:20太郎平小屋着~19:20就寝

5:30定刻通りに富山駅北口に到着。お手洗いを済ませ、駅構内のベンチで各自用意した朝食を食べる。電鉄富山駅に移動して電車に乗り込む。有峰口駅には7:00に着くと確認するも寝過ごした。すぐに終点から折り返しの電車の有峰口に到着する時刻を調べる。タクシー会社に電話して、7:37に有峰口に到着するまで待ってもらえるようにお願いをした。7:37有峰口駅に到着。タクシー運転手に謝り無事乗車。幸先の悪いスタートである。約一週間前の合宿の疲れが残っているようだ。慎重に進むように再度確認する。8:25薬師ヶ岳登山口に着いた。空は薄い雲で覆われ、今日は天候がもっても、明日は崩れそうな気配だ。ここでお手洗いを済ませた。登山口に建物があったが、登山届は受け付けておらず、「太郎平小屋で提出してください」という看板があった。8:40薬師ヶ岳登山口を出発した。早々に遠くに先週登った剱岳が見えた。登山道は整っており、ナメのようなところや木段があり、石が敷き詰められた道もあった。自然と岩に亀裂が入り、クリスタルのようにきれいな石もあった。途中木段を工事している場面にも遭った。なるほど、確かに道迷いの遭難はなさそうで、登山届を登山口で提出しないことにも頷ける。休憩中に「明日は雷雨のようだから気を付けて」と言われた。やはり上空の雲は悪天候の前兆だったようだ。
13:20太郎平小屋到着。小屋前のスペースは賑わっていた。小屋の隅に「登山相談所」というところがあり、計画書を提出した。マスクを着用して藤田が幕営料を支払いに行った。太郎平小屋は1000円であった。私たちがヘルメットを持っているのを見て、外国人登山者が「槍まで気を付けて」と声をかけてくれた。
薬師峠まで20分ほど木道を歩いて、テント場に到着。7,8張のテントがあった。
16:00の気象通報で天気図を描く。確かに低気圧が朝鮮半島にあり接近しているようだ。「テントが大破した最悪の場合は撤退だ」と藤田が言う。山で雷雨に遭ったことがないので、漠然とした不安に襲われる。翌日を停滞日とした。19:20就寝。

9月8日(水)  天気:雨
9:00起床~20:00就寝

目覚ましを掛けずに寝たため、この時刻に起床。雨の音で起きる。昨日あったテントは全てなくなっていた。どんなことが起きるのかとそわそわとした。10:30ごろ雨が強まり、遠雷が聞こえた。12:00ごろにまた雨脚が強まる。結局はそんなに酷い天候にはならず、テントは無事だった。気象通報では正午に能登半島近くに低気圧があった。そこから寒冷前線も出ていたが、夜中に通過しそうだ。
テントが浸水しないようにテントの傾斜の下に川を作って水の逃げ道を作った。うまく流れた。調子に乗って傾斜の上にも作ったが、これは失敗。逃げ道の溝を掘っても、うまく流れず、低いテント側に水が流れた。これにより、テントの低いところに水が溜まる。さて、どうやって寝よう…。雨の音に邪魔されながら20:00就寝。

9月9日(木) 天気:雨のち晴れ
4:00起床~6:30太郎平小屋発~8:35太郎平小屋着~19:00就寝

4:00起床。雨の中でテント撤収だったため、時間がかかった。木道を滑らないように進む。視界は良好。進む方角・道をしっかり確認して進む。すると、道に水が流れている。尾根道の登山道だから、尾根に降った雨が全て少しだけ低い登山道に集まってくるようだ。靴を浸水させないように、靴を置く位置を慎重に選びながら進む。7:30疲れたため、一度休憩。想像以上に進まない。「ここでこんなに水が流れているから、下ったらもっと水が流れているだろうな。徒渉を心配していたけど、撤退しようか」と藤田が言う。どうしても槍に行きたい吉田はもう少し頑張ると答えた。
先の登山道は藤田が言う通りもっとひどいことになっていた。登山道がナメのようで、V字の断面をしている。そこをたくさんの水が流れるから、足場が悪すぎる。月のものに当たり、25キロを背負っている吉田には辛すぎ、撤退を決めた。28キロの藤田は余裕であっただろうが。引き返す間に男性2名とすれ違った。8:35太郎平小屋に到着。ようやく一息ついて、木道を歩く。途中で吉田が木道を滑って尻もちをついた。8:55薬師峠に到着。午後になると晴れてきた。濡れたものを全て干していく。吉田の雨具が劣化していて、ズボンや靴下まで濡れていた。
手持無沙汰になり、ホットケーキを作ることにした。なかなか火加減が難しかったが、藤田が最後に1.5センチの厚さのホットケーキを作ることに成功した。
前日停滞を決めたが、本当はどう思っていたのか藤田に訊く。「コースタイムの2/3くらいで歩けるパーティだったら、もっと早く起きて、サクサク進んだかな。低気圧が近づきつつあったから、遅くなればなるほど酷くなる状況だったからね。」なるほど…。19:00就寝。

9月10日(金) 天気:曇りのち晴れ
4:00起床~6:00太郎平小屋出発~8:35薬師沢小屋着~8:45薬師沢小屋発~11:05雲ノ平アラスカ庭園~12:05祖母岳~12:33雲ノ平山荘~13:15雲ノ平テント場着~19:30就寝

4:00起床。サクサク準備しているつもりでも6:00になり太郎平小屋を出発。特に問題ないと思った木道が、朝露で濡れていて滑り易い。何度か足を滑らせながら、慎重に進んだ。雨が降っていないというだけで、足取りが軽い。前日に苦戦しながら進んだところは問題なく通過。すっかり登山道から水が引いていた。沢に出て来て、橋を何度か渡る。橋のすぐ下を水が流れており、おそらく昨日は厳しかっただろうと想像していた。
薬師沢沿いを歩いていると、左が切れている箇所が一か所ある。そこが境だった。それより前なら、木道が整っているが、それ以降は木道が外れていたり、折れていたり、動いたりした。
8:35やっと薬師沢小屋に到着。隙間に小屋を作ったような感じで、足場が地面でなく工事現場にあるような足場だった。10分休憩して薬師沢小屋を出る。早速吊橋を渡ったが、足場が狭く、揺れた。その先の梯子も頼りなくておっかなびっくりに上り下りする。
ここからは急登になる。1時間でどのくらい登れるのか計ることにした。結果は60分で270mの標高を挙げられた。ここの急登は登山道らしくなく、まるで小川がながれていそうなところだ。大きな岩がゴロゴロあり苔むしている。人が全然通らないのだろうが、石のピークは見事に苔が無い。踏まれているからだろう。赤布はないが、梯子が所々ある。1回の休憩をして急登を登り切り、11:05雲ノ平アラスカ庭園に到着。休憩用のテーブルとベンチがあった。視界が開け、他の山々が見える。そこから先はほとんど登らない。木道をひたすら進む。時々落ちていたり、折れているから信頼して歩いて良いものか慎重になる。
しばらく進むとアルプス庭園への分岐があった。祖母岳のことだ。分岐にはザックが一つ置いて行かれていたが、私たちはちゃんと全装を持って行く。12:05アルプス庭園に到着。360°見渡せ、北アルプスの山々が見えた。水晶岳、ワリモ岳、鷲羽岳が見えた。画家の吉田博が愛したというこの景色を見られて満足だ。吉田が疲れて10分休憩して出発。さて、また来た道を戻って12:33雲ノ平山荘に到着。山荘の看板が立派だった。マスクを装着して藤田が幕営の手続きをした。幕営料2000円。ここも幕営地は少し離れていて、木道沿いに尾根を越えて20分歩いて13:15雲ノ平テント場に到着。幕営地は広いものの、石が埋まっていたり、狭かったりして適当な場所がなかなか見からなかった。他に12張くらいのテントがあった。疲れてしまって、お汁粉を食べた。今日が高気圧に覆われて晴れたため、明日は高気圧が去りあまり良くない天気のように思われたが、低気圧も特に来ていないので、行動することにした。また、この時点で予備日をすべて使い果たしてしまった。槍ヶ岳に行くことを優先させることと、吉田の体力を鑑みて、翌日の予定を変更した。水晶岳をピストンして黒部五郎小舎に泊まるという予定を変更して雲ノ平から鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳を通って双六小屋に行くことにした。祖父岳の道は、テント場からならトラバースするルートが近いため、明るいうちに下見に行った。しかし、途中から道は植生保護域に入ってしまう。仕方なしに少しだけ遠回りであるが尾根道を進むことにした。19:30就寝。

9月11日(土) 天気:雨のち曇り
3:30起床~5:30雲ノ平テント場発~6:40祖父岳着~7:25岩苔乗越~8:10ワリモ岳~8:40鷲羽岳~9:40三俣山荘着~10:20三俣山荘発~11:00三俣蓮華岳への分岐~11:20三俣蓮華岳着~11:30三俣蓮華岳発~13:25双六小屋着~20:00就寝

3:30起床。5:30雲ノ平キャンプ場発。霧雨が降っていたため、雨具を着て行動開始。南に雲の切れ目があったので、すぐに止むと思っていた。小屋泊りの4人パーティと会う。これからしばらく追い越し、追い越され、追いつき、を繰り返していくことになる。一直線の道をサクサクと進んでいく。途中から道がグネグネと曲がりだし、ハイマツの隙間を進むようになる。途中で「ここから先の道は危険なため入らないで下さい」という看板があった。前日に見た祖父岳へのトラバースの道だ。上にはこんなことが書いてあったとは。ロープが張られていて入れないようになっている。山頂が近くなるとガスの中のガレ場でなかなか道が分かりにくい。一生懸命印を見つけながら歩きやすそうなところを探す。
6:40祖父岳山頂に到着。例の4人パーティは先に到着していて休憩をしていた。しかし、風が吹き寒かったので写真を撮るとさっさと下りる。下ったところにひらけているところがあったので、私たちはここで休憩をとった。岩苔乗越を通過した先の分岐で右に曲がると確認した。
ここから稜線に上がると、風が強かった。ガスっていて、周りの展望はゼロ。それでも道ははっきり見えた。雨は強まったり弱まったりした。8:10ワリモ岳を、特に休憩の時間でもなかったから通過。だんだんと雨脚が強くなり、吉田のズボンが浸水し始めた。8:40鷲羽岳を通過。寒すぎて止まっていられない。吉田が近くの三俣山荘で暖をとりたい話す。時々、登山者とすれ違った。そのうち、ズボンを伝って、靴下も濡れていった。藤田は上半身が湿った程度であったが、それでも寒かった。ひたすら下って9:40三俣山荘に到着。小屋前には休憩用のテーブルとベンチがあって快適そうだ。20分間暖まって、30分後には小屋を出ると決めて、マスクを装着して小屋の中に駆けこむ「暖をとらせてもらえませんか」。2階にストーブがあって表から回って入るといいと言われた。2階は食堂になっていて、コロナ独特の席配置で多くの人がケーキや軽食を食べて休憩していた。雨具を脱いで入口付近のストーブにぴったりくっついてズボンを乾かす。藤田は「顔が温かいね」と言うが、全然吉田は感じない。途中からストーブに当たりに来た女の人も「雨具の下がしっとりして…。寒いですね」と言っていた。なかなか暖まる気がしなかったが、藤田は冷静で「ストーブに当たらないよりマシだよ」と言う。約20分経過するとようやく暖まってきた。双六岳を巻くかどうか話し合った。巻くのであれば三俣蓮華岳から巻道を使う、ピークを通るのであれば尾根道を歩く。その2択だった。ピークを取りたい気持ちと体力温存を図ることの板挟みになったが、行動時間を縮めるために巻くことにした。最後までズボンを乾かしていたら時間が過ぎていた。小屋にはお礼で350円のリンゴのブッセを買った。10:20三俣山荘を出発。雨が止み、ガスっているだけだった。ズボンが乾いてホカホカした。吉田の体力の消耗具合を見て、藤田が「ここのテン場に泊まることも考えられるけど」と言う。しかし、槍に向けて予備日を1日作るという意味で黒部五郎小舎を飛ばしたのだ、ここで1泊するわけにはいかないと「頑張る」と吉田が答えた。
ここから藤田が先頭で歩く。しかし、ペースが微妙に速くて吉田には酸素が入らない。11:00三俣蓮華岳とその巻道の分岐に到着。またオーダーを元に戻し吉田のペースで歩く。ガレ場のくねくね道を進んで11:20三俣蓮華岳に到着。他に3人ソロの登山者がいた。内2人は黒部五郎に向かうようだ。吉田はここでしっかり肺に酸素を入れる。11:30三俣蓮華岳を出発。予定通り、双六岳を巻く道に進む。西から東に湧いたガスが抜けていく。道はしっかりとしていて、多くの登山者をすれ違った。斜面に沢があり、飲むこともできた。順調に進んで、13:25双六小屋に到着。幕営料は2000円。30張以上のテントで賑わっていた。これから先は天候が悪くはなさそうだという話を小耳に挟む。天気図にも朝鮮半島に高気圧があり、明日の天気は悪くなさそうだ。20:00就寝。

9月12日(日) 天気:曇り
4:00起床~5:50双六小屋出発~6:20樅沢岳~10:20槍ヶ岳山荘着~12:05槍ヶ岳山荘発~12:30槍ヶ岳着~12:38槍ヶ岳発~13:10槍ヶ岳山荘着~19:30就寝

4:00起床。雨は降っていないが、猛烈に寒いので雨具を着て5:50双六小屋を出る。樅沢岳を目指して尾根を登る。踏み跡がたくさんあるので、自分の歩きやすいところを探す。6:20樅沢岳に到着。1人の女の人が先に休んでいた。山頂からハイマツの間に細い道が出ている。そこに行きかけたが「槍穂〇〇ではありま〇〇」と消えかけた薄い字の看板があったので、左手奥の広い道へ行く。
晴れてきて、遠くを望める。山、沢、山、山、沢。低山ではお目にかかれない景色だ。時々風が強くなる。特に危ない場所もなく歩きやすい登山道をサクサクと進む。今日は沢山の人を見る。錆びた鎖が所々あるが問題なく進む。千丈沢乗越を、休憩の時間でなかったので通過。地形図だとここからガンガン登っていくようであるが、見たところそうでもない。主に北側斜面に道がある。斜面を通るときには印があるので、迷いにくい。北鎌尾根がずっと見えている。西鎌尾根より長くバリエーションであるから、相当厳しそうだ。時々さびた鎖があるが、問題なく通過。ずっといいペースで来たが、槍ヶ岳山荘に近いと思われるところで、吉田がバテた。腰が痛くなり急登で息が切れてくる。もうちょっとというところで、5分だけ休憩をとることにした。肺いっぱいに空気を入れた。
登り切り10:20槍ヶ岳山荘に到着。槍ヶ岳には長蛇の列ができていた。そして、何より強風で寒い。マスクを装着して藤田が幕営料金を支払ってくる。ここでも一人2000円であった。ここは沢から水を引いていないので1ℓあたり200円で提供している。小屋の中で5:00~18:00の間セルフで蛇口からいただく。元々テントを立ててからアタック装で槍に行く予定であった。とにかく寒いのでテントを立てることにした。しかし、テン場も相当風が吹いて寒い。テントが飛ばされそうになり、必死で抑えるも、金属のポールを触っているのが辛い。テントを立てるように指示された場所が1,2テンがぎりぎり入るスペースで、張綱を張るのに苦労する。やっとのことでテントに入ったら、私物整理をしてすぐにガスに点火した。あまりの寒さに槍に行く気力が奪われる。とにかくフリーズドライの甘酒を飲んで体を温める。「明日にしようか」という話にもなるが、今日やるべきことをしないとソワソワしてしまうため、やはり今日行くことにした。
寒い上にアタック装、そして列のために待たされそうだからとフリースと雨具を来た。いざ行かん、12:05槍ヶ岳山荘のテン場を出て、すぐそこの登り口に行く。サクサク進むも前にいる人のために待つ。「私、遅いので先に行ってください」と言われ、失礼する。その後も待たされることがあったが、それは私たちの直前の人が悪いわけでなく、単に人が多いからであって待たねばならない。十分に間隔をあけて梯子を上る。順路がしっかり白いペンキ示され、わかり易い。岩は多くの人が触っているせいか丸みを帯びている。ルートはしっかり整えられ鎖や梯子がこれでもか、と言うほどあった。12:30槍ヶ岳山頂。想像より山頂が広かった。360°見渡せて気持ちがいい。地形図を見てじっくりと眺めたかったが、あいにく人が多い上に次から次へと人が登って来る。北鎌尾根を覗こうとしたが、絶壁のようで難しかった。本当にこんなところを登るところなのだろうかという気持ちだ。おじさんに写真を撮ってもらった。ご自身が登頂して嬉しかったのか、私たちの写真をたくさん撮ってくれた。
展望を眺めるのもそこそこに12:38槍ヶ岳を後にする。山頂直下の梯子を下るのに苦労している人もいた。いつも通り慎重に下りて13:10槍ヶ岳山荘に戻ってきた。槍ヶ岳山荘とお手洗いの建物の間が一番風が強いため、この間は意を決して進む。そのあとはテントに逃げ込むようにさっさと進む。ガスを付けて暖をとった。テントを張るスペースが小さいため、前室を張れない。その弛んでいるところに強風が吹くからバタバタとうるさい。この音に終始悩まされながら19:30就寝。

9月13日(月) 天気:晴れ
3:30起床~5:20槍ヶ岳山荘発~6:15千丈沢乗越着~6:23千丈沢乗越発~8:45奥丸山着~9:00奥丸山発~10:05わさび平・左俣林道分岐~11:45下丸沢出合~12:10奥丸山入口~13:30新穂高温泉着~解散

3:30起床。「ご来光を見るために槍の山頂に行く人がいるかもね」と話していた。5:00小屋に水をもらいに行くと、大勢の人が小屋の前にいた。写真を撮る人、行動を開始する人。とにかく人が多かった。テントに戻るときに「テント泊?昨日は寒くて眠れなかったでしょう。大変ね」と声を掛けられた。藤田は問題なかったようだが、吉田はダウンを着ていない下半身は寒かった。
相変わらず風が強い中、必死にテントを抑えながらテントを撤収して5:20槍ヶ岳山荘を出た。お手洗いと小屋の間の強風区間を突破して前日に登ってきた斜面を下りた。すぐに風が弱まった。前日の苦しさを忘れたようにサクサクと千丈沢乗越まで行く。6:15千丈沢乗越に着いて水飲み休憩。地形図と周りの地形を見て、進む方向を確認する。6:23千丈沢乗越を出て、斜面を進む。途中で道標があった。飛騨沢と奥丸山への分岐だった。はっきりと奥丸山の文字があった。意気揚々と進むも、すぐにとんでもない道に来たことが分かった。踏み跡ははっきりとあるが、道の両側から草が生い茂り、道が見えなかったり、見失いそうになった。単子葉植物のススキの仲間らしきもの、ヒメジョオンのような綿を飛ばすもの、笹、アザミ、リンドウが存在を主張していた。ときどき階段と思わしき人工物があったが、崩れていた。完全に中崎尾根に乗ってからは笹が威張っていた。高くても腰までしかないので藪漕ぎはできない。それでも地面が見えないから、蹴とばすかかがんで笹をどかして地面を確認した。時々北側斜面が切れていることがあったり、南側斜面が笹が生い茂り、道幅が狭いことがあった。踏み外さないように、道を見失わないようにと慎重に進むと神経をすり減らした。奥丸山はすぐそこにあると思っていたがなかなか着かない。槍平小屋から奥丸山に来る道と出合うと道が幾分かましになり、歩きやすい。いつまで続くのかとうんざりした頃8:45奥丸山に到着。ご夫婦が先に休憩していた。槍平小屋からいらしたそうだ。2年前にもいらしたそうで、私たちと同じく西鎌尾根を使って槍に登り、上高地に下りたそうだ。中崎尾根をこのまま進むと伝えると、「この先キレットがあるそうだから気を付けてね」とアドバイスをいただいた。確かに地形図を見ると、両側が切れているわけではないが急な鞍部があった。
少し長めに休憩して疲れをリセットさせ9:00奥丸山を出た。ここからもひどい道だった。時々背丈と同じくらいの笹に出会う。道が分かりにくいが、やはりよく見ると笹にくぼみがあって道が分かるし、地面を見ればはっきりとした踏み跡がある。下っていくほどに赤布もあって迷いにくくなる。しかし、倒木があったり、木の根がはびこっているとやはり神経を使う。途中でソロの男の人とすれ違った。
挫けそうな心を何とかもたせて、10:05わさび平・左俣林道分岐に出た。ここで10分休憩。そのまま中崎尾根を直進する方角が指されているが、植物が生い茂っていて本当に道があるのか不安になるような感じだ。藤田はまだ余力があるようだ。ここから先は藤田が先頭で下りていく。低山の様相を呈して、木の根が行く手を阻む。11:45下丸沢に出た。沢に出ると、その先の道が分からなかった。下流の方ばかり見ていたが、首を右にすると、ちゃんと赤布があった。吉田が疲れ切っていたので10分休憩。今まで持っていた水を捨て、沢の水を汲んで楽しみ吉田が生き返える。もうすぐで林道に出ることを確認した。もうひと踏ん張りして12:10奥丸山登山口に到着。そのまま林道に進んだ。5,6組の人とすれ違い、2,3組を追い抜かした。下丸沢で元気が回復した吉田が、今日の遅れを挽回しようと林道を急いだ。藤田は全然問題なさそうだった。せかせか歩いて13:30新穂高温泉に到着。解散。

きれいに亀裂の入った岩(折立から太郎平小屋に向かうとき)
きれいに亀裂の入った岩(折立から太郎平小屋に向かうとき)
太郎平小屋から薬師峠に向かう道
太郎平小屋から薬師峠に向かう道
登山道が沢になっていた(9月9日太郎平小屋から薬師沢に向かうとき)
登山道が沢になっていた(9月9日太郎平小屋から薬師沢に向かうとき)
薬師沢小屋からの急登(苔が沢山生えていた)
薬師沢小屋からの急登(苔が沢山生えていた)
祖母岳からの眺め
祖母岳からの眺め

双六小屋の幕営所の昼と夜の様子
双六小屋の幕営所の昼と夜の様子
槍ヶ岳山頂からの展望
槍ヶ岳山頂からの展望
中崎尾根に入るところ
中崎尾根に入るところ
中崎尾根(笹に覆われた中を歩いた)
中崎尾根(笹に覆われた中を歩いた)